エアストリーム 創l立者
Wally Byam ウォーリー・バイアム
Wallace Merle Byam , (1896- 1962 Jul. 22, )
ロスアンゼルスに静かに眠る、エアストリームを創造し、世界中をトラベルトレーラーで
旅を愛する仲間達と探検を繰り広げた。そこで得た様々な経験は製品開発に直接つながっていた。
誰よりも、彼自身が最も厳しいエアストリームのお客様だったのだろう。




Forest Lawn Memorial Park at Glendale, California

1712 S. Glendale Avenue
Glendale
Los Angeles County
California USA
Postal Code: 91205
Phone: 800-204-3131
http://www.forestlawn.com

VINTAGE AMERICAN TRAVEL TRAILER
トラベルトレーラーというのが正式な言葉。
様々なアメリカンRVのなかでエアストリームをはじめとしたVintage リクリエーショナル・ビークルRVは
まったくといっていいほど、この日本では紹介されてこなかったのが実情です。
ここではとても簡単な説明ですが
AIRSTREAM それってなに?、、に答えていきたいと思います。


文・ 監修 www.airstreamcafe.jp

ご存知、AIRSTREAM!といっても殆どの人は実物はおろか、明確なイメージすら持っていないのがこの日本。
キャンピングトレーラーも町や道路でみかけることは、まず無いのが普通です。
そんな、日常で本物のエアストリームをこちらでレンタルルームとして利用できるんだから面白い試みです。




ロス近郊のとってもカジュアルなライフスタイルそれがトレーラーパークだね。
低所得者のスラムというイメージはあるものの
実際はアメリカンVINTAGEの粋なデザインに囲まれた自由な楽しい生活空間だ。
ハリウッドムービーには
その、絵になる姿から、よくシーンに使われます。もちろんMTVなど
ミュージックビデオにも。

メジャーな映画でざっとあげると
バグダッドカフェ
パーフェクトワールド
8miles
マーズアタック
ギルバートグレイブ
チャーリーズエンジェル
ジュラシックパーク
邦画ではGAGA松竹の
バックダンサーズ!
日本のミユージックビデオでは
ブリリアントグリーン
TEE
などetc.

それぞれのトレーラーは過去には贅沢なもののひとつだったが
住居としては昔から庶民の味方というアフォーダブル、、手の届く住まいの方法だった。


戦後の復員兵にとって新しい生活のスタートに住宅供給不足という社会情勢のなか
トレーラーパークはレジャー用からレンタル、分譲、様々なライフスタイルに
フレキシブルに対応しやすい、ライフスタイルとして急速に発展した。
大学に前線から帰ってきた若者は恋人や夫婦でトレーラーに住まいそして
希望に満ちた生活をはじめていた時期でもあった。そんなキャンパスの敷地に置いた
トラベル トレーラーで生まれたという人もアメリカにはけっこういる。

余談だが筆者の娘2人は帝釈天ならぬ、エアストリームで産湯という状態であったが
幸か不幸か現在も家族四人でエアストリームに住んでいる。


トラベルトレーラーという旅を目的にした方向と住まいを目的にした方向と
大きく業界団体も分かれて発展していった。

エアストリームをはじめとする航空機用ジュラルミンを主に使用するトレーラーはまさに
堅牢性から長期にわたり老朽化しない稀な存在として現在もなお現役で使用されている。

写真はそんな戦後に生産スタートしたSAPARTAN AIRCRAFT社のボディースケルトン。
複葉機の時代からメーカーとして存在しているオクラホマ州の航空機メーカーだ。
スパルタン・エグゼクティブという民間ビジネス用飛行機は当時そのデザインの美しさもさることながら
高性能な贅沢な飛行機を世に出してた。
そして、戦後の戦闘機生産の需要減少から経営者は急遽RVビジネスへの参入を決断する。
その結果、最高の技術と贅沢な設計でRV業界に君臨していた。
1946年当初開発はトラベルの最高峰で最高額でもあった。その名もMANOR、スパルタンのCEOだった
有名な石油億万長者J.P.ゲッティーによってプロトタイプから斬新な変身をとげてデビューした。
やがて高級感あるエグゼクティブ路線を目指し、 大型化することで、トラベルトレーラーではなく、住居としての方向に進化し
まるで恐竜のように消えていったが、ジュラルミンボディーとして設計と生産の本質は、その質と規模において
AIRSTREAMを戦後当初、はるかに凌駕していた。
現在でもジュラルミンVintage TrailerのなかではAirstreamと双璧をなしている。

1945年のプロトタイプ Silver Manor

1946年にフロントのパノラマウインドウをプレキシグラス(アクリル) 曲面
ウインドウの採用で衝撃的なデザインが誕生した。





SPARTANの低価格Ver. SPARTANETTEの住まい。





大型化の顕著なアイコン、PACEMAKERのTRI-LEVEL普通に言えばフロアが三段。三階建てというと
ちょっと大げさだが、、たしかにこんなコンセプトは日本人には作れないね。

さて、ジュラルミンといっても普通はゼロハリのカバンくらいしか身近にないよね。
材料工学のはなしはべつにして、確かに航空機用に開発された材料。
全てのトレーラーが採用するわけではないけど、ある意味、妥協をしない贅沢な設計思想が
なければ全ては実現しないんだね。 2024T3 alclad aluminum sheet, 2024-T3 This is the most common of the the high-strength alloys. Aircraft quality 2024 T3 aluminum sheet is thought of as the aircraft alloy because of it's strength. 2024T3 has excellent fatigue resistance.その全ては彼から始まった。
ホーレー・ボウラス
世界初のジュラルミンモノコックボディーのトラベルトレーラーの開発者。
グライダーデザイナー技師であり記録保持者でもあったパイオニアだ。
アルバトロスをはじめアメリカの航空史における大きな存在である。
リンドバーグ大西洋単独横断飛行のスピリット オブ セントルイス号の
成功の礎にもなっている ライアン航空のチーフエンジニアであった彼による功績のひとつ。
その意味でもBOWLUSの開発したロードチーフはトラベルトレーラーの革命であった。




少年時代に祖父とCovered Wagon幌馬車で何ヶ月も羊の放牧の旅
に出ていたこともあるWally Byam はやがてガレージビルドの
トラベルトレーラー製作者からスタートして瞬く間に世界の
AIRSTREAMとなる奇跡の創業者となる。

WALLY BYAM ウォーリーバイアムはスタンフォードを卒業後、出版編集、広告代理店業界で
コピーライターをしていたが趣味のトラベルトレーラー造りに熱中すると
自身のデザイン設計図面の冊子を編集販売することになった。図面のとおりにいかない
場合もあり不評は彼を本格的に設計製造へのガレージトレーラービルターにした。
しかし、そこではまだジュラルミンのモノコックボディー設計にはならず
開発が先行していたヨーロッパタイプのトレーラーを工夫をこらし良質なもので商品化していた。

torpedo という、魚雷をイメージして2次曲面だけの流体流線型の木製フレームのジュラルミン外装パネルを
採用。具体化し図面化公表したものの
航空機の胴体までの3次曲面を持つ流線型には、まだいたらない。
最近商品化しているBASE CAMPはそうした足跡へのオマージュともいえるデザイン。

さて、彼はロスアンゼルスを中心とした活動をしていたが
やがてサンディエゴのBOWLUSと出会い、販売マネージャーとして活動する。
BOWLUSの実現したデザインはまさに、BYAMの理想の具現であったが
旅をするトレーラーのBYAM自身の理想としては、まだ改良の余地があった。

受け継ぐチャンスは、以外にもBOWLUS・TELLER社の撤退倒産による
バトンタッチという形で到来した。


Wallace Merle Byam , (1896- 1962 ) 1962年に亡くなるまでその人生は、強いアメリカという時代背景の
なか圧倒的な驚きの車体存在イメージとは裏腹に顧客とともに旅をするなかで改良開発という
極めて実直で質素な探検者のツールとしての設計思想を貫いていた。
製造にコストはもちろん手間と航空機製造技術の必要な手間のかかるフォルムは当時も一部の高所得者層にしか
手にすることの出来ないものであった。

1931年設立 Airstream Trailer Co.。既に彼の初期の設計で様々なトラベルトレーラーの基本構造と要素は
ユニークでその他の追随を許していなかったが
ジュラルミンモノコックという航空機ボディーの製造にかかわらずして
得られるものではなかった。
時にBOWLUS TELLER 社はBowlusの航空機開発への専心から
銀行の抵当に入り経営的な行き詰まりをむかえる。
そこで、Byamが技術と材料、技術者すべてを受け継ぐ形となり、
1936年そのトラベルトレーラーの設計思想の改良をほどこし誕生したのが
この1936年 AIRSTREAM CLIPPERである。ここから本当の意味でのAIRSTREAMが
産まれて行くことになる。



第二次世界大戦、太平洋戦争にアメリカは参戦、民事でのジュラルミン供給はされなくなり
Byam自身もロッキードなどの工場で生産に携わるために、自らの手でAIRSTREAMは幕を閉じ
戦後という、新しいスタートはアメリカ国内での爆発的な市場形成の展開のなかで
様々なメーカーによりアメリカンRV産業は花開き、今日我々の手に出来る、Vintage RVが
自動車産業とともに誕生していく。

戦後直ちにByamは戦前モデルのClipperに生産性と改良を加え、新設計で市場に投入することになるが
そのブランドは彼自身の会社ではなかった。ロスアンゼルスの航空機メーカーCURTS WRIGHTである。

パイオニアであるCURTISS・WRIGHT Bros,とはSがひとつたりない。別物である。
もとよりCURTISS WRIGHT 社は かのグレン・カーティスは自身の開発によるトラベルトレーラー用の
5thWheelを実用化した "Glenn Curtiss Aero Coupler",
当時のRVとして彼の the Curtiss Aerocar Land Yacht.は名実共に最高峰である。

www.tincantourists.com

さて、ロスのCURTISは1946から1948年までトレーラーを販売した。
当時BYAMはCURTISとともに戦後もでるとして、より軽量化とシンプルな構造にした
シングル鉄パイプフレームによる斬新な設計で
ジュラルミンモノコックボディーのシリーズにCLIPPERという名前までつけて発売した。
それが戦後デビューしたCURTIS WRIGHT CLIPPER、カーチスライト・クリッパーである。

彼はそのすぐあとに、もう一度自分の手でAIRSTREAMを設立することを決意。
そして、販売会社としてMcFaul Brothers の協力のもと独自の改良をさらに加えて
1947年LINERのシリーズで発売する。


ライナーは先行のカーチスライトにあったボディー構造のセンターピラーパイプを
フロント・リアともに取り払うことで、牽引時の後方視界をより広く確保するという
思想から改良した。また当時アクリルも採用されて軽くて曲げることが容易なため
フロント・リアともに開閉できないがボディーデザインの形状に大きく貢献している。
このこだわりは、換気というもう一つの観点である非移動時の使用目的の優位性から
以後の50年代の開閉可能で密閉性も良い窓にとってかわられた。


カーチスライトやシルバーストリークに存在するセンターピラーが
無いため移動時の視界は良好。 BYAMはバックミラーでの後方確認の安全性に
言及している。

これはモノコックアルミリベットの貼りあわせたシェルが外壁・内壁とを
アルミシートの折り曲げチャンネルリブにより接合することで得た、極めて軽量で強度のある
ボディー構造に自信と信頼がなくてはできないことであった。皮肉にも自身のスタートでもある
1936年Clipperの鉄仮面的な特徴あるフェイスを打ち壊すことで、戦後の開発が始まった
といえる。

やがて1948年CURTISWRIGHTはトラベルトレーラーから撤退。
その製造を引き継いだのが、SILVER STREAK。Kenny Neptune,Pat Patterson,Frank Politoら
LA中心に航空機製造に従事していた仲間達である。初回デリバリーは1949年。
この時代、ロスにてトラベルトレーラーの店先には、3社のブランドのことなる異母兄弟とも
いうべき、そっくりなトレーラーが並んでいた。


やがて、1957年にPat Patterson はSileverStreakを出てSTREAM LINE を立ち上げた。

その他AVION や Boles Aero など
アルミ製トレーラーは存在したが、現在生き残っているのはAIRSTREAMのみである。






さて、リベットというとこれも必然的な要素です。溶接できないから。

これも大変な作業ですね。ホントに息の合った作業と根気です。
そんなわけでAIRSTREAMはその全てが、航空機産業の副産物とでもいえる
基本設計思想がその本質なんですね。

低い重心として鉄のシャシーの上にモノコックボディーというのが基本です。
アルミ押し出しチャンネルによる骨はまさに航空機の血統。

内張りのジュラルミンシートとグラスウール断熱材を取るとこう。

初期のトレーラーの場合は室内はベニヤを張っていたので
バーチウッド化粧合板にラッカー塗装がスタンダード。

とても温かみのある落ち着いた空間となっていました。しかし
写真の中央の天井の換気窓枠や窓枠の経年劣化による
雨漏りなどがあると薄いベニヤはたちまち朽ちてしまうので
40・50年代は室内程度のいいものは希少であります。
ボディの外装がよければ大抵のものは
張り替えることでレストア可能。

AIRSTREAMをはじめボディーにジュラルミン構造の場合は床板のみが木材なので
ボディーそのものが朽ちないために半永久的な存在となる。
それこそが最も偉大なデザインとして存在君臨する所以。


室内装備をとりはらうとこんなかんじ。
自由に作りこみたくなります。

通常の箱型の木材構造は外壁のアルミサイディングシート張り構造。
これは現在も同じ設計のものが多いですが側面と天井の接合部は
モールとビスによる接合となりコーキングガムの
経年変化による雨漏りや、開口部の漏れがあると構造木材をくさらせてしまう。
ここが製品の命にかかわるポイントであり、壊れるが故に企業として
継続するというパラドックスの原因でもあります。
話はかわって
室内の生活というと最低限必要なものの重量を考えると
イメージはこんなかんじ。(筆者はエアストリームに住みだして11年経過している。)
設置使用の場合はフレームに必要以上の負担がかからないように
ジャッキでささえることが一般だが旅をするときもこれくらいのものは
想定されています。 ただし、マニュアルには重量オーバーの注意書きがあります。



典型的な1970年代のフロント室内
70年代はプラスチックやビニールコーティングベニヤなど
新しい材料が採用されることで、石油製品の時限付の恩恵に
あずかることになり、それは現在になるといたむものでもあったりします。

こちらはフロントソファーが大きいタイプ

キッチンから奥がベッド

ツインだったりダブルだったりといろいろ

つぎは自然のなかでの一般的な設置タイプのイメージ
デッキは入り口高さがあるために必要だし、多目的なオープンスペース
としてなくてはならないものです。


オーニングという巻上げ収納のスクリーンテントはとっても
いい味ですが、強風時にはとても危険なことになるので
使用する人のセンスが要求されます。そういう意味のセンスは
トレーラーの全てにおいていえることかもしれません。


フロントウインドウの防護用にバイザーもあります。
牽引時には小石がとんでくることがあるわけです。

こちらは80年代のカタログより

全ての窓にテントをつけることができます。
もともと、AIRSTREAMオーナーだったテント会社の社長H.J.Dudaが
みずからのトレーラーに開発したものが新しい市場開拓となってできた
商品 ブランドZipDeeというのが人気で標準ともいえる
オプションになっています。歴史的には巻き上げタイプ以前は
ポールとロープでたてるもので Vintageトレーラーの年代にあわせたスタイル。


もちろん各種装備品は車体によってオーナーによって、様々。



ルーフクーラーはキャンプでは重宝ですがなかなか定住タイプだと
メンテナンスも大変です。日本製の小さいもので事足りるようです。
ディシュタイプのアンテナもVHF/UHFが共用が多く地デジもOK。
室内ランプは全て12V標準なのでソーラーパネルもRV用が利用できます。

モーターホームについて

トラベルトレーラーという被牽引車両 とは別に
もともとRVの歴史の古い段階から大型化しますが車両にお部屋をつくるタイプを
MOTOR HOMEといいます。
設置タイプのもっと大きなトレーラーはMOBILE HOMEといって
カテゴリーがわかれます。
Motorというエンジンと運転席のあるなかでも、サイズで各種クラスわけされていますが
AIRSTREAMは1974年にはじめてこの分野に参入をもくろむのですが
市場での後発であったためと、経営方針も創始者没後は度重なる買収によりそれまでの
歴史になかったマーケティングという手法で全てが輝かしい歴史とはならなかったようです。

開発に着手する際に、生産効率を上げ、低価格なアイテムを揃えるという
企業経営のセオリーを導入した結果、本来のブランドに泥を塗る結果となる
開発になっていきます。

幸い、ブランド維持のためにスタート段階では
ARGOSYアルゴジーという別ブランドによりスタートします。

それは、モノコック、ジュラルミンボディーの血統を、生産効率の観点から
最も、複雑で熟練を要する前後の曲面コーナーパネル作りをスチール一発プレスの
採用で出し抜く策だったのです。その結果が塗装されたボディーのARGOSYとしてAIRSTREAMの技術による、初代思想の不徹底な
結果を生み出しました。効率と利益追求がものづくりの思想をくつがえしたのです。
しかし、市場、消費者にとっては、ジュラルミンボディーの正統派AIRSTREAMのボディー
を持つモーターホームの熱望もありARGOSYでスタートの4年後、1979年に
AIRSTREAMの正真正銘の全ジュラルミンのモーターホームはスタートしました。
NASAの出発シーンで使用されるものがそれです。

CHEVROLETのP-30というコマーシャルトラックのシャシーに350から454cuiのエンジン、また
ある時期はいすゞのターボディーゼルまでのせてラインナップ。
20ftから34.5ftまでほぼ同じデザインで永く製造されました。
下の写真はARGOSYの宿命であったボディー塗装を剥がし
ポリッシュしたもの。

黒い部分が鉄板。あとはジュラルミンモノコックボディー。
トレーラーも各サイズがつくられた。
ベイジュカラーにカッパー銅メタリックのラインが印象的だが
そのデザインの理由とは隠蔽工作という厚化粧であった。

筆者も酷評するだけあって、所有していました。去年住んでいました。
やはり、残念ながら鉄板塗装部分は錆びてきます。
しかし、今回あらためて、やはりそのストリームラインボディーは
たとえ、塗装であっても決して他の追随を許さない美しい
フォルムであり大胆なその存在はアメリカ以外には
地球上でつくることができなかったデザインであり。。
昨今のカーデザインと企業と開発というものとは
比較にならない存在意義があると思っています。

実物は秘密基地にあります。楽しく宇宙船のように住めます。



次回は各年代のモデルと一般的な装備などについても。。。